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泉田法律事務所

ムチウチ症に苦しんでおられる方へ

交通事故被害に遭い、
ムチウチ症で通院していると、
相手方保険会社から、
そろそろ通院を終わりにして欲しいと
言われることが多くあります。

概ね3ヶ月から6ヶ月程度の通院ともなってくると、
そのようにいわれます。

それでも通院を続けていると、
突然、保険会社が弁護士に依頼することがあります。
それでも通院を続けていると、
弁護士が調停を起してくることがあります。
調停でも通院を続けると、
債務不存在確認の裁判を起してくることがあります。

なぜ、ここまで保険会社は、
通院を止めさせようとするのか、
答えはわりとシンプルです。

現在の後遺障害の認定実務において、
ムチウチ症は、
極度の神経症状として12級になるか、
継続的な神経症状として14級になるか、
非該当になるかのいずれかです。

12級になる事例は、
骨折や脱臼などの明らかな他覚所見のある場合に限られます。

その他の場合は、14級になるか非該当かのいずれかです。
賠償論でいえば、14級になるか、非該当かは、
大違いで、
非該当の場合は、多くの事例では、賠償額は100万円を下回ります。

他方、14級となれば、
後遺障害慰謝料だけでも110万円(弁護士基準)ですから、
総額でも200万円~500万円程度の幅での賠償額になることが
多くなります(過失相殺される場合は別)。
それほどの差が14級と非該当にはあります。

では、どのような場合に14級になり、
どういう場合に非該当になるのでしょうか。

この点、後遺障害というからには、
症状固定後2年~5年はその症状が続くことが見込まれないといけません。
そのため、6ヶ月程度の通院で終了した場合には、
その見込みが立たないため、ほとんど非該当になります。

損害立証というのは、
被害者に酷を強いることがあります。

すなわち、痛みを抱えて仕事をされたり
家事をされたり、自宅で休んでいらっしゃったとしても、
それは、客観的な証拠として残りにくいのです。

治療の必要性があったかというのは、
実際に通院して医師の診察を受けていないと、
立証が困難なのです。

つまり、通院していないということは、
症状もたいしたことが無かったとか、
治ったからだとか言われてしまうのです。

逆に言えば、
1年程度通院を続け、医師も治療の必要性を認めて、
診察をし、治療効果が上がっているという場合には、
実績という言葉が適切か分かりませんが、
上記の2~5年は症状が続くだろうという推認が強く働き、
14級と認定されるケースが多くなります。

なぜ、保険会社は、
執拗に通院をやめさせようとするのか、
の答えが、ここに隠されています。

保険会社側は、
他覚所見がないムチウチ症は、
全て6ヶ月以内に治療を終わらなければならない、
という勢いで話をしてきます。
6ヶ月で治療を終えたら、
非該当になる可能性が高いことは先に述べました。

他方で、そのような中でも
治療を継続したら、
後遺障害14級が認定されます。
14級に認定されれば、賠償額が、
非該当に比べて大幅に違うから、
保険会社は、14級を阻止するために、
速やかに治療打ち切りをしてほしいというわけです。

しかし、なんともいえない話です。
治療費打ち切りのご相談を受けるにつけ、
世の中よくならないかなと
いつも思います。



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